本学の空手部は1931年創部。松濤館の空手を継承。
伝統ある体育会の中でも最も伝統と歴史を誇る部です。
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■2006年4月16日:船越義珍先生をお偲びして
稲門空手会 元会長 渡部 俊夫

 船越義珍先生(以下大先生とお呼びする。)は、沖縄手を安里安恒、 糸洲安恒両先生に学び、その奥義を究められた。その後「武道」としての空手道に開眼され、1922年5月にご上京、空手道の指導に専念された。その当時の大先生のご心境は、次の七言絶句の自奮詩に明示されている。

   海南の神技 是空拳
   恨むべし衰微して正博を絶つ
   誰か為す中興大成の業を
   此の心奮発して蒼天に誓う

 尚、当時の事情については、本ホームページの「船越義珍先生と松涛館」に記載されているので承知されたい。
  近代空手道の始祖と評された大先生の空手道観と具体的なご指導の内容は、1935年発刊の「空手道教範」に詳細が書かれてある。
蓋し「名著」である。
  その観点から、空手道修行者に、人生の心得として、「松涛二十訓」(別掲)を教示された。私はこの松涛二十訓は、私ども松涛同門会の者に対する「遺言」であると思っている。心して味わうべき「金言」である。

 私は18才の時から、長年、大先生のご指導をお受けしてきたが、大先生はやさしい方であった。
 生来、真面目、穏和、情に厚い方であった。私どもを大声で叱ったり、或いは他の流派の指導者を非難するようなことはしなかった。「誠実な情の人」であった。
  学生時代に、稽古のあとで、我々は個人的に、大先生と親しくお話をする機会が度々あった。空手については勿論、どんな話でも、おだやかに、親しみをもって、しかも丁寧なお言葉で、時に冗談を交えて応答してくださった。楽しかった。
  大先生は、余人を以って替えがたい大切な、おなつかしい方であった。
  大先生。天上に在って、松涛同門の修行者一同を昔と同じように、末永くお見守りくださいますよう、心からお願い申し上げます。合掌


 「修文錬武」について、私ごとで恐縮だが、私が大学を卒業する直前の1月、大先生が、小生宅にご来訪くださったことがあった。その折、大先生から頂戴したのが、横書きの「修文錬武」の書である。
  みごとな書である。
  父に頼んで表装してもらった。
  いづれ兵役につかざるをえない私は、早大の道場に持参して現役の部員に掲揚方を依頼した。
  「命あって帰国したら、自宅に持って帰る」と伝えた。戦後あらたに道場ができて現在でも壁に掲揚されている。
  大切にしてもらいたい。



〈*本文は、平成18年4月29日鎌倉円覚寺の松涛祭・船越義珍師  範50回忌開催時に作成された50回忌誌への寄稿と、その文に加筆をした。〉

 
   松涛二十訓

     空手は礼に始まり礼に終わることを忘れるな
     空手に先手なし
     空手は義のたすけ
     先づ自己を知れ而して他を知れ
     技術より心術
     心は放たんことを要す
七     禍は懈怠に生ず
     道場のみの空手と思うな
     空手の修行は一生である
     凡ゆるものを空手化せよ其処に妙味あり
十一  空手は湯の如し絶えず熱を与えざれば元の水に還る
十二  勝つ考えは持つな負けぬ考えは必要
十三  敵に因って転化せよ
十四  戦いは虚実の操縦如何にあり
十五  人の手足を剣と思え
十六  男子門を出づれば百万の敵あり
十七  構えは初心者にあとは自然体
十八  形は正しく実戦は別もの
十九  力の強弱体の伸縮技の緩急を忘れるな
二十  常に思念工夫せよ




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