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新入生の皆様へ。早稲田大学入学おめでとうございます。伝統ある大学で今後4年間学問を学びつつ、学生生活で貴重な経験を重ね、立派な早稲田マン・早稲田ウーマンとして成長されることを願っております。
私は、昭和50年(1975年)に早稲田大学の政経学部に入学しました。その後まもなく空手部に入部しまして、空手の稽古を4年間続けました。稽古、部活道を通じて、先輩方からは非常に多くの事を教えて頂きました。
大学を卒業して間もない頃、某先輩は私に「空手にルールが一つある。そのルールが何だかわかるかい?」との質問を受けました。私は戸惑いまして、即答はできませんでした。先輩の答えは、「空手にはルールが無い、とうことが空手の唯一のルールだ。」おっしゃいました。禅問答のような答でした。
空手には組手の試合があります。これは空手の目標を達成するための稽古方法の一つです。形という稽古方法もありますし、基本という稽古方法もあります。基本組手、試合組手等も同じく一つの稽古方法です。組手の試合にはルールがありますので、怪我をしないように、反則等を犯しますと、ペナルティーを課せられます。試合のプロセスを管理してくれる審判もいます。
現実はどうでしょうか。現在の日本は治安も良く、平和です。多種多様な犯罪が増加してきていますが、それでも実際命に関わる大事件に私達が巻き込まれるという事態には、恐らく一生に一度も遭遇しないかもしれません。。
社会に出ますと色々な競争にも直面します。純粋培養で学生生活を送っていた皆さんにとっては、とんでもない、と思うような様々な人と、社会生活を共有する事になります。中には悪人もいるかもしれません。暴漢に襲われることは少ないでしょうが、万が一暴漢に襲われた時、社会での競争に巻き込まれた時、どこかで勝負をしなといけない状況に何度か遭遇するでしょう。その際に私が思いだすのは、ルールが無い、という前述の先輩の言葉です。審判はどこにもいません。例え相手が反則をした場合も、「今の相手の行為は反則ですよ!」と訴えて自分を助けてくれる人はどこにもいません。それでも、負けられません。負ける訳には行かないのです。家族といた場合は家族を守らないとなりません。強い人は空手をやる必要はありません。空手の稽古を通して、ルールの無い現実での勝負に勝っていくための強い精神を作る事が大事です。
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